中絶後になりやすい病気の対処法を産婦人科専門医が解説
グランレディースクリニック渋谷
Post-Abortion Disease
「中絶手術を受けた後、何か病気になりやすくなるのでは」と不安を感じている方は少なくありません。
結論からお伝えすると、適切な医療機関で行われた中絶手術の後に重篤な病気を発症するケースは極めてまれとされています。
ただし、手術である以上リスクがゼロではないことも事実です。
本記事では、中絶後に起こりうる身体的・精神的な病気やリスクについて、発症頻度や対処法とともにわかりやすく解説します。
中絶後に重篤な病気を発症するケースは極めてまれ
医療機関で適切に行われた中絶手術では、重篤な合併症の発生確率は1%未満とされています。
日本では母体保護法指定医のもとで安全に手術が実施されており、適切な術後ケアを受ければ過度な心配は必要ありません。もちろん、リスクがゼロではないのですが、安心していいでしょう。
中絶後に起こりうる身体的な病気・合併症
中絶手術は安全性の高い医療行為ですが、手術である以上、身体に影響が出る可能性はあります。ここでは「感染症」や「子宮の病気」などの身体的リスクを解説します。
いずれも発症頻度は高くなく、適切な対処で改善が見込めるものなので、ご安心ください。
感染症(子宮内膜炎・卵管卵巣炎など)
手術後に細菌が子宮内に侵入すると、子宮内膜炎や卵管卵巣炎を引き起こす可能性があります。
主な症状は発熱、下腹部痛、悪臭のあるおりものなどです。重症化すると高熱や吐き気、全身の倦怠感に至ることもあります。
ただし、清潔な環境で手術が行われ、術後に抗菌薬が適切に投与されていれば、感染症のリスクは大幅に低減できます。
また、術前に性感染症(クラミジアなど)の検査を行い、陽性の場合は事前に治療することでリスクをさらに抑えられます。
術後に異常な症状を感じた場合は、自己判断せず速やかに受診してください。
子宮内容物の遺残(絨毛遺残・脱落膜遺残)
手術後に子宮内容物(絨毛や胎盤の一部)が子宮内に残ってしまう状態を「遺残」と呼びます。これによって不正出血が続いたり、感染症が引き起こされたりすることがあります。
術前の超音波検査で子宮の状態を正確に把握し、術後検査で経過を確認することにより、予防・早期発見が可能です。
万が一遺残が確認された場合でも、追加の処置で対応できますのでご安心ください。
子宮穿孔
子宮穿孔とは、手術中に器具が子宮壁を傷つけ、穴が開いてしまう合併症です。発生頻度は極めて低く、経験豊富な母体保護法指定医のもとではほとんど起こりません。
WHOが推奨する吸引法(MVA)は、従来のソウハ法よりも子宮内腔への負担が少なく、穿孔リスクも低いとされています。万が一発生した場合でも、迅速な処置で対応が可能です。
子宮頸管損傷
手術前に子宮口を広げる処置(子宮口拡張)を行う際に、子宮の入り口である子宮頸管が損傷する可能性があります。
ただし正しい処置が行われていれば、重篤な損傷が起こることはほとんどありません。
術後の出血・腹痛
術後に出血や軽い腹痛が生じることは一般的な症状であり、多くの場合は一時的なものです。
子宮が妊娠前の大きさに戻ろうと収縮するため、生理痛のような痛みが数日から1週間程度続くことがあります。
ただし、大量の出血が止まらない場合や強い痛みが長期間続く場合は、感染症や遺残の可能性も考えられます。早めに手術を受けた医療機関を受診してください。
中絶後に起こりうる精神的な病気
中絶手術後は、身体だけでなく精神的にも不安定になることがあります。ホルモンバランスの急激な変化に加え、手術に対するさまざまな感情が影響するためです。
ここでは中絶後遺症候群(PAS)やうつ病などの精神面でのリスクについて解説します。
中絶後遺症候群(PAS)とは
中絶後遺症候群(PAS)とは、中絶手術に関連するPTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種とされるものです。中絶に伴うストレスや感情の抑圧から、心身にさまざまな症状が現れる状態を指します。
中絶後遺症候群(PAS)の主な症状は以下の3つのカテゴリーに分けられます。
| カテゴリ | 主な症状 |
|---|---|
| 過覚醒反応 | イライラ、集中力の低下、不眠、過度な警戒心 |
| 侵害行為 | フラッシュバック、悪夢、うつ状態 |
| 抑圧 | 感情の麻痺、中絶に関することの回避、子どもを見るのがつらくなる |
ただし、すべての方にこのような症状が現れるわけではありません。症状の有無や程度には個人差が大きく、時間の経過とともに自然に軽快していくケースも多いとされています。
うつ病・不安障害
中絶後に気分の落ち込みや強い不安感が持続する場合があります。ただし、中絶そのものが精神疾患の直接的な原因になるという科学的根拠は現時点では確認されていません。
一方で、もともと精神的な疾患を抱えている方や、周囲からの社会的な支援が限られている方は、精神的な不調のリスクが高まる可能性があるとされています。
気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、婦人科や心療内科へのご相談をおすすめします。
摂食障害
まれなケースではありますが、中絶後のストレスや感情の抑圧から、食事のコントロールが困難になることが報告されています。過食や拒食の傾向が続く場合は、心療内科やカウンセリングの受診を検討してください。
精神的な症状への対処法
精神的な症状の多くは、適切なケアと時間の経過により回復が期待できます。まず、つらい気持ちを抱くのは自然なことだと理解することが大切です。
信頼できる方に話を聞いてもらったり、カウンセリングを受けたりすることで、気持ちが和らぐこともあります。症状が長引く場合は、婦人科や心療内科に相談してください。
グランレディースクリニック渋谷では、患者様のお気持ちに寄り添った対応を心がけています。ひとりで抱え込まずに、まずはご相談ください。
中絶後に不妊になるリスクはある?
「中絶をすると不妊になるのではないか」と心配される方は多いですが、適切に行われた中絶手術が将来の不妊の直接原因になる可能性は極めて低いとされています。
アッシャーマン症候群(子宮内膜癒着)が不妊につながるケースがありますが、そもそも、この病気の発生頻度はごくまれです。WHOが推奨する吸引法(MVA)は子宮内腔への負担が少なく、着床リスクの低減が期待できます。
なお、中絶後はむしろ妊娠しやすい状況になるという見方もあるため、術後の避妊方法について医師に相談しておくことが大切です。
中絶手術と不妊の関係についてくわしくは、「一度中絶すると不妊になる?」の記事もあわせてご覧ください。
一度中絶すると不妊になる?
中絶後の病気を予防するために大切なこと
中絶後に起こりうるリスクは、正しいケアを行うことで大幅に低減できます。ここでは、術後に気をつけていただきたいポイントを解説します。
術後の安静と経過観察
手術後は医師の指示に従い、安静に過ごしましょう。入浴(湯船)・運動・飲酒・性行為などは、医師の許可が出るまで控えてください。
体調に異変を感じた場合は、自己判断せず速やかに受診することが大切です。
術後検診を必ず受ける
術後検診は、子宮の回復状況を確認するための重要な機会です。遺残や感染症の早期発見にもつながります。体調に問題がないと感じていても、必ず受診してください。
検診を受けることは、ご自身の安心にもつながります。
こんな症状がある場合はすぐに受診を
術後に以下のような症状がみられた場合は、早めに手術を受けた医療機関へご連絡ください。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 38℃以上の高熱が続く | 感染症の可能性 |
| 大量の出血が止まらない | 遺残・子宮損傷の可能性 |
| 強い腹痛が続く | 遺残・感染症の可能性 |
| 悪臭のあるおりもの | 感染症の可能性 |
| 精神的に強いつらい状態が続く | PAS・うつ症状の可能性 |
グランレディースクリニック渋谷の中絶手術について
グランレディースクリニック渋谷では、患者様のお気持ちに寄り添い、安心して中絶手術をお受けいただける環境を整えています。
WHO推薦のMVA(手動真空吸引法)に対応
柔らかいソフトカニューレを使用し、子宮内腔への負担を大きく抑えます。使い捨て器具のため衛生的で、感染リスクも低い術式です。
従来のソウハ法に比べ、合併症のリスクが低減できるとされています。
プライバシーに配慮した診療体制
「人に知られたくない」という患者様のお気持ちに最大限配慮した診療体制を整えています。渋谷駅から徒歩3分とアクセスも良好です。
中絶手術の費用や診療の流れなど、くわしくはグランレディースクリニック渋谷の中絶ページをご覧ください。
まとめ
中絶後に重篤な病気を発症するケースは極めてまれであり、過度な心配は必要ありません。
身体的には感染症や子宮損傷などのリスクが考えられますが、いずれも適切な医療機関での手術と術後ケアにより大幅に軽減できます。
精神的な後遺症(PAS)についても個人差がありますが、適切なケアを受けることで回復が期待されるとされています。
術後検診を必ず受け、異変を感じた場合は早めに受診することが、ご自身の体を守るうえでもっとも大切なことです。
ひとりで抱え込まずに、まずは専門医にご相談ください。
中絶後になりやすい病気についてよくある質問Q&A
Q.
中絶後にがんになりやすくなることはありますか?
▼
中絶手術が子宮がんや乳がんなどのリスクを高めるという科学的根拠は、ありません。ただし、中絶の有無にかかわらず、定期的な婦人科検診を受けることが予防の基本です。
Q.
中絶後に感染症にかかったかもしれません。どうすればいいですか?
▼
38℃以上の高熱、強い腹痛、悪臭のあるおりものなどの症状がある場合は、速やかに手術を受けた医療機関にご連絡ください。
感染症にかかっていた場合でも抗菌薬の投与など、早期に適切な治療を受ければ回復が見込まれます。
Q.
中絶後の精神的なつらさはいつまで続きますか?
▼
精神的な症状の程度や期間には個人差がありますが、適切なケアを受ければ多くの場合は時間の経過とともに回復するとされています。
症状が数カ月以上続く場合は、婦人科や心療内科への相談をおすすめします。
Q.
中絶を繰り返すと病気になりやすくなりますか?
▼
中絶の回数が増えることで、子宮内腔への負担が蓄積し、合併症のリスクがやや高まる可能性は否定できません。
吸引法(MVA)など子宮への負担が少ない術式を選択することが重要です。繰り返さないための確実な避妊方法について、医師に相談することをおすすめします。
Q.
中絶後、いつから日常生活に戻れますか?
▼
多くの場合、術後数日から1週間程度で日常生活への復帰が可能です。ただし、激しい運動や入浴(湯船)、性行為は医師の許可が出るまで控えてください。
無理をせず、体調の回復を最優先にすることが、病気の予防にもつながります。